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第4回 2000/09/13 SONY CDU948S を使った高品位 CD-DA の制作

[ 目次 ]
・最後の業務用ドライブ CDU948S
・高品質な CD-DA を焼くために
・目指せ CDU921S-PR!!(COLT921S-PR の制作)


目指せ CDU921S-PR!!(COLT921S-PR の制作)

948S は業務用として開発されたドライブですから、もちろん業務用途の製品が存在します。ご存じの方も多いと思いますが、CDU921S-PR という製品です。残念ながら一般向けには発売されていません。 それゆえ、このドライブは CD-R のベテランユーザーの間では垂涎の品の一つに挙げられています。
この製品に使われている外付けケースは、CDU920S というドライブを使用した、CDU921S という業務用機と同じケースを使用しています。このケースは出来が良く、搭載している電源も大変質の良いものだそうです。

948S を使い初めると、多くの方が良質の電源を使いたくなるようです。その思いを突き詰めてゆくと、最終的には CDU921S のケースに行き着いてしまうのですが、残念ながら一般向けには一切流通していないから、事実上手に入れるのは非常に困難です。

ある日、ふと秋葉原を歩いていると、ちょっと背は高いけど、CDU921S によく似た外観の機器を見かけました。よく見ると、それは CDU921S と同時期に生産されていた、SONY の5インチMOでした。
そこで COLT-T は、ピンときました。もしかして、大きさやデバイスの種類から推定して、「このケースの電源は CDU921S と同じか、同等品かも知れない...。もし、このケースを流用できたら、948S の業務用である、CDU921S-PR と同等のマシンを作ることが出来るのではないか?」
しばらくして、ある CDU921S を所有されている方から「5インチMOの電源は、CDU921S と同じものと思われる」との情報をいただき、遂に COLT-T は一つの決心をしたのでした。

「CDU921S-PR を自作しよう! そうだ、無いものは自分で作っちゃえ!!」

私が手に入れたMOのケースは、幸いにもMOドライブを取り外しただけの未使用のケースでした。もちろん、ジャンク屋や中古屋を探しても、わりと簡単に見つかると思います。値段も数千円なので、それ程の負担にもならないでしょう。


5インチMOケース


内部構造(フィルター付きファンに注目)

このケースを加工するに際して、ポイントは大きく分けて3つあります。

1.ベゼルへのドライブ固定
2.フロントパネルの改造
3.ディップスイッチ用コードの延長

それでは、順を追って説明してきます。
作業自体はそれ程難しくありませんし、専門的な知識が無くても出来るレベルだと思います。


1.ベゼルへのドライブ固定
このケースのベゼルには、ドライブを固定するためのネジ穴があるのですが、このネジ穴にただ取り付けてみたところで、底に這いつくばるように固定されていかにも不格好ですし、フロントパネルの開口部分にも位置が合わないので、もっと底を上げた位置で取り付けたいところ...。

そこで役に立つのが、アルミ板にパンチ穴が無数に空いている、「パンチング・プレート」とか、「パンチング・メタル」などと称される材料です。これで、写真のようなコの字型の
スペーサーを作ります。パンチング・プレートは、1枚 \280 程度で、東急ハンズの造形材料売場などで見つけることが出来ます。

このスペーサーを、ベゼルとドライブの間にネジ止めします。
もちろん、スペーサーの寸法は、フロントパネルの開口部分の高さに合わせて、慎重に決めましょう。左右が同じ高さになるように、寸法にも気をつけて下さい。

 

パンチング・プレートで、スペーサーを自作

スペーサーを取り付け、底上げした状態で固定。上部と底部に大きな空間があり、背後のファンからの冷却風がスムーズに流れる。

2.フロントパネルの改造
このフロントパネルには、元々5インチMOを挿入するための開口部分がありますが、見て分かるようにこれでは 948S のキャディを出し入れできません。従って、948S のフロントパネル全体を露出できるように、開口部分を広げます。
田宮模型や、カッターで有名なオルファというメーカーから、模型用の小さなノコギリが発売されているので、今回はそれを使いました。
(1)まず、Pカッターを使って開口部分の寸法で深く罫書き、ノコギリで大まかに開口します。
(2)次に先に罫書いた後に沿って、カッターを使って寸法通りに丁寧に切り口を広げていきます。
(3)根気よく(2)を繰り返した後、耐水ペーパー(#600 と #1000 があればベスト)で切り口をなめらかにして、切りくずを水洗いして完成!!


3.ディップスイッチ用コードの延長
ジャンクの中から手に入れたものに、ちょうど良いコネクターが付いたものがあったので、これを元にディップスイッチ用のコードを自作します。これを作っておけば、SCSI ID を変更する際にも、背面のディップスイッチで変更出来るので、わざわざケースを開けてドライブのジャンパーを抜き差しする必要がありません。


(1)ケーブルが短い(左上)ので、延長する。真ん中で一度切断し、コードを継ぎ足す。
(2)継ぎ足した部分は半田付けし、被子チューブでカバーし、しっかり絶縁すること。
(3)片方のコネクタが、9端子だったので、中央で切断し、SCSI ID 用の3端子用コネクタを2つ作る。(右下)
(4)完成したディップスイッチ用コードを、コネクタとドライブ背面のジャンパースイッチへ取り付ける。

堂々完成!!
アッパーカバーを取り付けて、遂に完成した。 名付けて、COLT921S-PR(爆)!!
憧れの CDU921S-PR 相当と言っても過言ではない、理想的な CD レコーダーの完成です。(^o^)v

COLT921S-PR の勇姿(自己満足)
(クリックで拡大画像)

後ろから見た、COLT921S-PR
新品ケースならではの、真っ白なフィルターが眩しい。
(クリックで拡大画像)

COLT921S-PR の内部構造
(クリックで拡大画像)

冷却方式が特徴的。フィルター付きの後部ファンから外気を吸い込み、前方両側面や底面のスリットから排気する。空気の流れはスムーズだ。
吸気は完全にフィルターを介しているので、理論的には埃の侵入が無い。

電源は、計測器などに用いられている、信頼性の高いもののようだ。

さっそく焼き焼き! そして試聴
ようやく完成した、我が COLT921S-PR を使って早速試し焼きを行いました。
太陽誘電の 74TY を使って、2倍速焼き。
待つこと数十分、焼き上がったメディアを常温に戻るまでしばらく放置し、おもむろに試聴しました。
COLT921S-PR で作成した CD-DA は、今までの外付けケースで焼いたものと比べて、やや質感が増し、繊細な音まで聞き分けられるといった分解能の向上が感じられます。ただし、私のオーディオ機器では、ここまでが限界です。 これ以上の厳密な差を評価するには、より高価なオーディオ機器が必要かも知れません。いずれにしても、そこまで行き着くと、もうプロのレコーディングエンジニア諸氏による仕事の領域なので、我々一般ユーザーとしてはこのあたりで満足しておいたほうが良いでしょう。

ただ待つだけでなく、自分から挑戦することも大切
いかがでしたか?今回自作した、CDU921S-PR 相当の CD レコーダーですが、本物の CDU921S-PR にかなり近づいたマシンに仕上げることが出来たと思います。
ちょっとしたアイデアと工夫次第で、憧れのマシンに近いものを手にすることが出来るのだ、ということを感じていただければ幸いです。

さぁ、皆さんも挑戦してみませんか?(笑)

この COLT921S-PR に関しては、今後もハマリモノBBS にてレポートしていきたいと思っています。どうぞお楽しみに。

 

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