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第8回 2003/05/31

Plex Tools Professional における Q-Check ≪仕組みを知って、上手に使おう≫

[ 目次 ]
 ・Plex Tools Professional リリース、各測定項目の説明
 ・準備、実際の測定 C1/C2 test
 ・実際の測定 Beta/Jitter test
 ・解説:各測定結果について
 ・他ドライブで焼いたメディアの測定
 ・最後に:Q-Check で出来ること、出来ないこと


解説

(1)C1/C2 test の測定結果
各メディア毎の結果は、前ページでご覧頂いた通りですが、今回の測定でも定評通り、太陽誘電がデータ用、音楽用共に非常に低いエラー発生率であることが分かります。 加えて三菱化学のアゾも、予想以上に良好な結果を示しています。

もう一度、C1 エラーの平均値を表にまとめてみましょう。
なお、今回測定したメディアでは C2 エラーは検出されませんでした。

No. 品名 外付け時(回/秒) 内蔵時(回/秒)
平均 最大 平均 最大
1-1 太陽誘電 74TY 74min 32x 0.4 14 0.4 12
1-2 RICOH CD-R 80min 40x 2.5 25 2.4 33
1-3 三井化学(国産 8x)MJCDR74NK(Pink) 74min 0.3 7 0.3 7
1-4 MITSUI A.M., INC. AK200PX0A 74min 8x (USA) 2.3 28 2.3 26
1-5 三菱化学 CD-R 74min 1x-16x 0.6 26 0.6 26
2-1 太陽誘電 A74CP 74min 0.5 12 0.5 11

特筆すべきは国産三井の驚くべき低エラーレートでしょうか。 視覚的にも数値的にも、文句なしの高品質。
以前、何度かこの時期の国産三井を UM Doctor Pro にて測定したデータを雑誌等で拝見したことがありますが、その頃の国産シアニンメディアに比べて一様にエラーレートが高かったように記憶しています。 今回測定した製品は、国産三井の中でも、特に当たりのロットだったのだと思います。 この事実からも、一度や二度の測定結果を鵜呑みに出来ないと言うことがよく分かると思います。 私自身、国産三井は比較的エラーレートが高めの印象がありましたので、改めて測定したことで、自らの確認に勝るものはないなと痛感しています。

一方、既に絶版となった国産三井に対して、貴重な現役の金反射層メディアである米国三井ですが、今回測定した製品は比較的エラーレートが高いという結果が出ました。 にもかかわらず、音質面では PX-W5232TA のレポートでお伝えした通り、国産三井に勝るとも劣らぬ、大変優れた音質を聴かせてくれました。PX-W5232TA に対しては、ベストメディアと言えるほどです。
本特集の1ページ目に私は、「C1 は、エラー・レベルとしては最も軽微なもので、最終的には完全に訂正可能なものです」と書きました。このように、C1 は音質の悪化に「直接関与する」のではなく、音質悪化の要因が存在する可能性を「間接的に示唆する」ものに過ぎないと言うことが証明されたと思っています。 出来ることなら、本特集をお読みになっている方々を招いて、聴き比べていただきたいところですが、なかなかそうも行かないのが残念です。(^^;

ところで外付け時と内蔵時での、エラーレートへの影響ですが、ご覧の通りほとんど変化はありませんでした。 多少の差異も、各メディアを通して見ると一貫性はなく、測定したメディアの個体差や僅かなゴミ等の誤差程度です。
少なくとも今回の測定環境では C1/C2 エラーの発生率と、ドライブ駆動時の電源や発生ノイズとの間に、明確な因果関係が現れることはありませんでした。

(2)Beta/Jitter test の測定結果
まず Beta 値ですが、これはランニング OPC の働きなどによっても変化します。つまり、色素の塗布が均一差を欠いていたり、ポリカーボネイト基板の質の良否による反射率の変動が大きいと、ランニング OPC がレーザー出力を変動させ、ピットの形成に影響を及ぼすと考えられます。 測定結果を見ると、RICOH では、Beta 値が冒頭から終わりまで、大きく波状にうねっています。 これは、上述した色素の塗布にムラがあるか、反射率の変動させる何らかの要因があるためでしょう。 特にこのメディアは 40x 書き込み対応という、極めて高速に対応しているメディアなので、色素の塗布量そのものが、他の5種のメディアに比較してかなり薄いと思われます。そのため、均一な膜圧に塗布するのが極めて難しくなっていることも一因だと思います。 米国三井は、ディスクの中間あたりから+(プラス)方向に持ち上がり、その状態のまま終わっています。 これもおそらく、色素の塗布があまり良くないのだと思います。
それ以外のメディアでは、若干ピットの検出が強い傾向を持ちつつも、全周にわたりほぼ一定した値を示していました。
誘電のデータ用が、32x 対応品でありながらも大変優秀な値を示しているのは、さすが腐っても誘電(失礼)ですかねぇ。(^^; なんだかんだ言っても、ノウハウには一日の長があるように思います。(笑)

次に Jitter 値について解説します。
ただ、ここでも最初にお断りしておかなければならないのですが、Q-Check では Jitter test の測定結果は、絶対量ではないと言うことです。 全周に渡る Jitter 値の測定では、最低値がグラフ上で 0 を下回らないように、測定中でもグラフそのものが上方にずれる事があります。 なので、Q-Check の Jitter test で Jitter の絶対量を知るのは不可能です。 そのため、測定結果から、Jitter の発生が高い値で継続している場合と、低い値で安定している場合を比較しても、グラフ上の区別が不可能であると言うことです。グラフの縦軸に数値の表示が無いのは、この理由のためだったというわけです。
これには私も参りました。 なぜなら、絶対量はともかく、これではメディア同士の相対的な評価も困難だからです。(^^;

そこで、どうにかこの条件下で比較可能な要素はないかと考えてみたところ、私は全周におけるジッター値の最小値と最大値の幅(以下、変動値)に着目しました。 この幅が狭ければ、メディアの冒頭部分から終わりまで、ジッターの発生率が一定していることになる。つまりは、記録面の精度が良好であると推測できます。 逆に、幅が大きければ、記録面の精度が良くないという推測が出来ます。
このような判断に基づいて、再び測定結果に目を向けると、RICOH はトラックが進むに従って、どんどん Jitter 量が増えています。 変動値は8目盛り分にも達しています。 PX-5232TA では比較的良好に聞こえたものの、それまでの RICOH の音質が今一つ優れなかった理由は、おそらくこの Jitter 変動値が示すように、記録面の精度が悪いことが要因である可能性が高いと思われます。
その他のメディアでは、誘電データ用と国産三井、および三菱化学の変動値が約4目盛り分。残りの米国三井と音楽用誘電が一番小さくて約3目盛り分の変動値でした。 米国三井が C1 エラーが高めにも関わらず音質が良かったのは、記録面の精度が高いからであると思われます。 おそらく、Jitter の絶対量も低いのではないでしょうか。

※この変動値ですが、あくまでも私自身が着目したものですので、今一度その旨を踏まえた上でお読み下さい。
どう捉えるかは、皆さん次第です。

(3)外付けの場合と内蔵の場合の比較
Jitter 値では、外付け時書き込みと内蔵時書き込みの差が明確に出ました。 ご覧の通り、明らかに内蔵だと悪化しています。 外付けすることによって十分余裕ある電源を独り占め出来る場合と、たかだか 250W の ATX 電源から分けてもらった貧弱な電力とでは、かくも明確な差が生じるとは、非常に興味深いです。
やはり記録品位は電源に依るところが大きいということを証明した結果となりました。

 

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